2024.04.26イベント開催報告
【レポート】第2回 AI×コンテンツ研究会「AIのコンテンツ産業におけるソフトローとゲーム産業での利活用」
CiP協議会ではAIの登場によって大きく変わりつつあるコンテンツの制作、流通、受容についての変化を共有し、日本から新たな利活用の事例を作り世界に打って出る機会を探るプロジェクト「AI×コンテンツ研究会」をスタートし、4/18に第2回 AI×コンテンツ研究会「AIのコンテンツ産業におけるソフトローとゲーム産業での利活用」を実施しました。
■登壇者 *敬称略
・内山隆氏(青山学院大学総合文化政策学部総合文化政策学科 教授)
・森川幸人氏(モリカトロン株式会社 代表取締役/モリカトロンAI研究所所長)
・里宗巧麻氏(Klab株式会社)
・花光宣尚氏(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 特任助教)
モデレーター:
菊池尚人 デジタル政策財団 理事
■レポート
花光氏のAIホットトピックを皮切りに内山氏が生成AIに対するソフトローについて、森川氏、里宗氏からゲーム産業におけるAI利活用の現在についてのプレゼンテーションを行いました。
【AIホットトピック:花光氏】
ここ数週間の動きとしてLocalLLMもしくはRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)と呼ばれるものの紹介が行われました。
●LocalLLM『Command R+』の紹介
・LocalLLMはサーバーを使わずに自分のPCだけで言語モデル(LM)を動かすもの。
・『Command R+』は一年前のGPT4クラスの言語モデル。
・速度はほぼGPTやClaude3と同じ。
・ネットに繋がずに動かせるので、大きなデータを扱ってもPCの発熱を押さえられる。
・APIやネットに依存せず=課金されずに言語モデルの恩恵を受けるといった動きが促進される可能性。
まとめとして、
・『コンテンツ制作の民主化』が進むだろうし、同時にOpenAI独り勝ちではなくなるだろうという業界の見方。
・『LocalLLM』は独自の用途=例えばコンテンツなどとの相性は良く、需要が高まってくるとAI使用を前提としたPCも増えてくるだろうし、値ごろ感も生まれてくるという動きが今年中にも登場するのではないかという感触。
などの考察を挙げられました。
【内山氏】
「生成AIの利活用と保護」について制度論的アプローチとして以下の事項について論述がありました。
・生成AIに対する反発が強まり、規制強化の動きに向かっている理由。
・著作権において生成AIをどのように考えるべきか。
・Factual(事実に基づくもの)とNarative(創作されたもの)でのAI活用リスクの違い。
・米国での民間ガイドライン策定の動きについて。
【森川氏】
「ポスト生成AI」をテーマとしたゲーム産業でのAI活用の取組の紹介がありました。
・「キャラクターの生成」とか「メッセージの生成」だけを生成AIで作っているのではなく、「殺人事件のロジック自体」を生成AIに作らせたゲーム「RedRam」の紹介。
・個人の情報を入れて、作詞、作曲、ミュージックビデオまで制作した実例を挙げて、個人の情報を入力したごくプライベートなゲームなどスクリプトなどを必要としない簡易なゲーム制作の可能性が示された。
【里宗氏】
Klabでの実例として(先進的取組事例ではなく)「現場で何が起こっているか」として以下の紹介がされました。
・KlabではAIを活用した業務改革を行う「機械学習G(研究開発)」とAIに関する社内での環境構築、課題解決、利用促進を行う「AIタスクフォース」の2軸が進められている。
・AI活用のルール化については「制作会社としての指針を作る対応」があると考えているが、各社へのヒアリングでも部署間の縦割りなど困難があり、先頭に立つ旗振り役が必要。
・著作権違反をするのはAIでも人でも同じで「描きたいものを効率的に再現するためのツールとしてAIを利用する」ということが大切。そうすれば著作権の問題の多くはクリアする。
・「AI+人」によって「人ができなかったことをできるようになる」ことがゴール。
以上のプレゼンテーションを踏まえ、登壇者によるパネルディスカッションで意見交換が行われました。
5/9(木)17:30より【第3回】AI×コンテンツ研究会「コンテンツ産業におけるAI関連ソフトローとゲーム産業での利活用」を開催します。
詳しくはこちらをご確認ください。