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2015.05.01

2014年度報告書 第3章 基本理念

 竹芝/CiPプロジェクトが、前章において述べた機能を有効に発揮する目的で構築する組織について述べる。
 
 

3−1 CiP協議会の設立
 
 竹芝/CiPプロジェクトが人や企業、教育機関や省庁、自治体を呼び込み、「研究開発」「人材育成」「起業支援」「ビジネスマッチング」といった機能を発揮するために、これらの活動のベースとなる組織として2015年4月に「CiP協議会」を設立する。
 CiP協議会は、協議会設立に向けて、2014年5月にCiP準備会を設立、協議会発足に向けた発信活動を開始、発信活動の一環として準備会発足から2015年3月までの間、月1回のペースで、「デジタル×コンテンツ」のテーマに親和性のあるテーマのシンポジウムあるいは講演を交えた説明会あるいは勉強会を開催する(開催実績等に関しては第5章)。
 
 

3−2 CiP協議会の形態
 
 CiP協議会は以下の形態で活動を行う。
 
・ 企業、団体を対象に会員を募る会員組織とし、協議会の運営実務について  は、事業者アルベログランデからの委託のもとに、一般社団法人融合研究所が行う。
 
・会員からの会費を主な原資として活動し、また省庁、自治体、政府系機関
 等から研究、調査、実証実験等を受託するために最適な一般社団法人の形
 態をとる。
 
・ 会員には理事会員、一般会員、賛助会員の種別を設け、協議会活動は、会
 員からの会費を原資として、理事会員からの提案、理事会での協議をもと
に行う形とする。
 (会員種別の詳細については次章)
 
・協議会内には、有識者の参加を目的に「フェロー」を、省庁、自治体から
の参加を目的に「オブザーバー」を設置し、「官」「学」からの参加を推進
する。
 
・ 協議会内には、目的ごとに分科会を設置、会員を中心とした分科会活動を
協議会の活動の柱とし、これにフェロー、オブザーバーの参加を働きかける。
 
・ 分科会は個別に会合、勉強会といった活動を行い、その成果について年度末にCiP主催で実施するシンポジウム等のイベントにおいてその活動成果を発表する。
 
・ 事務局は年度ごとの分科会の活動に一定の成果を目標として定め、分科会をサポート(時にはリード)する。
 
・ また、事務局は理事会員との協議のもとに一定回数の勉強会、シンポジウ
 ム、会員相互の交流をはかるサロン、懇親会等を実施する(これら事務局
 主導のイベントの詳細については第4章)
 
 

3−3 CiP協議会の特色
 
 CiP協議会には、以下の特色がある。
 
・竹芝地区都市再生プロジェクトの中核として2019年に開業する竹芝新施
設での展開を前提とした組織であること
 
・国家戦略特区で活動する組織として、実証実験等に対する規制緩和などの
法的措置を提案できる。
 
・研究開発機関の設置を前提とした、国内外の大学等教育機関との共同研究
 
・「デジタル×コンテンツ」をテーマとした業界横断型組織
 
・「産官学」のコミュニティの醸成
 
 前記の組織がこれらの特色を生かして、前章において述べた機能を発揮した場合、以下のアウトプットが考えられる。
 
 

3−4 CiP協議会から発信することが期待されるアウトプット
 
・R&D、マッチングを通じたビジネスチャンス
 
・特区である特性を生かした実証実験
 
・海外、地方との産官学ネットワーク
 
・超人スポーツ、国際会議等のイベント
 
・政策提言、新制度の提案
 
・若者ユーザーと先進コンテンツが生む新文化
 
・プログラミング学習などの教育メソッド
 
・コンテンツクリエイター、メディアプロデューサー等の制作人材
 
・2020年代を切り開くデジタルコンテンツ事業 etc.
 
 分科会を設置し、会員の活動を事務局がサポート(時にはリード)する仕組みは、いずれも融合研究所が事務局業務を行うDiTT(デジタル教科書教材協議会)、DSC(デジタルサイネージコンソーシアム)において実装されているものであり、成果を上げている。
 CiP協議会が取り組むテーマはこれらのコンソーシアムに比べて幅広いものになるが、蓄積した運営ノウハウを生かして、機能する組織を構築していきたい。
 また、協議会の規模については設立時点から徐々に拡大していく形を指向したい。分科会が取り組むプロジェクトの成果を発信する中で、協議会に興味、関心を持ち、自社の持つテーマや課題を持って入会する企業、団体が増えていくことが、CiPが指向する機能を実現し、長く持ち続けるために必要なことと考えるからである。
 活動についても短期的な成果を求めて小さな活動にとどまるよりも、当初は基礎的な活動からスタートするものもあるだろう。こうした活動についても、理事長、事務局を務める融合研究所が適切な方向に進むよう、サポートしていきたい。
 
 以下は、他の拠点施設における組織構築の事例を紹介する。
 
●事例1:グランフロント大阪「ナレッジキャピタル」
 大阪・梅田駅の北側に位置する大型複合施設「グランフロント大阪」の北側低層階を構成する知的創造拠点。
・ テーマ:「感性と技術をマッチングさせることで新しい価値を生み出すこ
      と」
・掲げる機能:「産業創出」「文化発信」「国際交流」「人材育成」
・運営組織:一般社団法人ナレッジキャピタル
      KMO(運営会社)とKMOの100%株主でもある、NTT都
      市開発、オリックス不動産、関電不動産、阪急電鉄他うめきた
      先行開発区域開発事業者12社で構成。
・主要施設:
 B1Fのイベントラボ、1Fのカフェラボ、3Fのアクティブラボで構成される「ザ・ラボ」、2Fのフューチャーライフショールーム、会員の交流を目的とした「ナレッジサロン」、7、8階のインキュベーションオフィス「コラボオフィス」、3,000名収容規模の「コンベンションセンター」、「ナレッジシアター」、「カンファレンスルーム」等。
<参考>アクティブラボ展示内容
「電気自動車×スポーツカー(GLM)」「音楽×つなぐ(三木楽器)」「メガネ×未来(ウエストユニティス)」「デジタル×試着(デジタルファッション)」「次世代×美術館(凸版印刷)」「テレビ×未来(電通国際情報サービス/オープンイノベーション研究所)」
「表情×錯覚(東京大学大学院情報理工学研究科:廣瀬・谷川研究室)」
「情報×アート(ビジュアリゼーションラボラトリー大阪)」「未来×通
信(日本電信電話)」「大学×都市(大学都市KOBE!発信)」「子ども
×癒し空間(梅花女子大学)」「人×ロボット(マッスル)」「手の感覚×
ロボット(鴻池運輸、鴻池技術研究所)」「肉眼×飛び出す映像(独立行
政法人 情報通信研究機構=NICT)」
 
<参考>大阪イノベーションハブ活動内容
 大阪市による「グローバルイノベーション創出事業」(参考:2013年度
予算2億5385万円)
・ 目的:国内外から人材・情報・資金を誘引し、新製品・新サービスにつな
   がるプロジェクトの創出・支援を行う「場」と「仕組み」の創出
・ 事業:(グローバルイノベーションファンド以外については、サンブリッ
   ジ・グローバルベンチャーが公益財団法人 大阪市都市型産業振興セ
   ンターと共同で受託)
 
①国際展開・人材発掘事業
 ―国際プロモーション
 ―人材交流やワークショップによる起業家マインドの醸成
  …国内外の起業成功者との交流機会の提供、シリコンバレー等、国際的
   なイノベーション拠点への若手人材の派遣
②イノベーション支援事業
 ―ニーズ顕在化プログラム
  …ワークショップの開催等により、潜在ニーズを発掘、新しいビジネス
   モデルの構築につなげる
 -プロジェクト創出プログラム
  …企業と大学等のオープンイノベーションによるプロジェクト創出を支
   援するプログラムを実施
 
・大阪ハッカーズクラブ
  大阪イノベーションハブが運営する無料の会員組織。
   -対象(プレイヤー):アイデアや技術を保有し、自ら起業や事業化に
             向けたプロジェクト等を創出する。
            個人あるいは起業や事業化に向けたプロジェク
             ト創出の支援を行うコミュニティの主宰者。
   ―パートナー:イノベーション創出に向けて連携する大学、企業、団
          体等の法人起業や新事業創出のための知識や経験を活
          かし、プレイヤーへのアドバイスや投資等のサポート
          を行う法人
   ―目的:これらプレーヤーやパートナー、連携団体、組織が集積する
       イノベーション創出ネットワークの構築。
   ―サービス:会員の相互連携の機会提供。
         大阪イノベーションハブのスペースやワークショップス
         ペースの提供。
         セミナー情報やビジネス情報の提供。ウェブサイト、
         メルマガによる製品、サービスのプロモーションサポー
         ト
 
・グローバルイノベーションファンド(仮称)
  大阪市が5億円を出資、それを種に50~100億円の規模のファンドの組
  成を目指す。
①コンセプト(目的)
   ―グローバルに成長を目指すベンチャー企業の支援
   ―投資活動を通じた大阪市での新事業創出
   ―人、金、情報の集積によるイノベーションエコシステムの構築
②投資の対象:ICT×モノ作り
③出資者候補:大阪市、事業会社、金融機関、政府系機関
④プロセス
  ファンド概略設計
  GP(投資組合運用者)チームの結成
   →2013年7月公募の後、ハックベンチャーズ(株)に決定
    出資者(大阪市、民間企業、金融機関、政府系機関など)への事前
    声かけ
    ファンド詳細設計
    出資者募集
    ファンドによる成功事例創出→人、情報の誘引→新たな資金集積と
    いうエコシステムの循環を目指す。
3年後の目標:プロジェクトの創出支援100件、イノベーションハ
ブへの参画あるいはSNS等でつながった人数10万人
 
●事例2:柏の葉アーバンデザインセンター
 千葉県柏市の産学官共同研究拠点「柏の葉 任意団体柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)と一般社団法人柏の葉アーバンデザインセンターが並行して活動。
 
 2006年に任意団体が発足、2011年に一般社団法人が発足。主体は任意団体UDCKで、一般社団法人は任意団体ではできない契約行為の受け皿として設立された。
 
・目的:
―「学習、研究、提案」を行う大学、研究機関、「事業化の企画、調整」を行う企業、行政、「地域参画、持続的運営」をはかる市民、地域組織、行政とのを結ぶ。
―柏の葉国際キャンパス構想の推進、実行
―イベントの実施あるいはメディアを通じた外部への情報発信
 
・ 運営:東京大学、千葉大学、柏市、三井不動産、柏市商工会議所、
     田中地域ふるさと協議会、首都圏新都市鉄道の7団体が共同で運営。
・ 実施:上記7団体と実際の活動を行う企業、団体で構成する運営機構が行
    う。
    協力団体は、千葉県、柏市の外郭団体の柏市まちづくり公社、
都市環境研究所、UG都市建築、
広報を委託されているプラップジャパン、YRPユビキタス・
ネットワーク研究所等11団体、これに起業支援の役割を担う
TEP(TXアントレプレナーパートナーズ)が加わる。
・スタッフ:副センター長として都市デザインが専門の東京大学非常勤講師
が専任。
      施設、企画運営担当、都市設計担当として柏市まちづくり公社
から3名が専任、環境未来都市担当として柏市から1名が専任。
      エリアマネジメント担当、健康未来都市担当として協力団体か
ら各1 名が専任、広報活動担当はプラップジャパンから、産業
創造担当はTEPから担当者が専任。
 
・KOIL(柏の葉イノベーションラボ):
  三井不動産が運営するインキュベーションオフィス。170席のコワーキ
  ングスペースを中心に、ミーティングルーム、スタジオ、ファクトリー
  レンタルオフィス、会議室、交流サロンで構成される。
 
・TEP(TXアントレプレナーパートナーズ):
  TX(つくばエクスプレス)沿線の起業家の育成、支援を担う組織として
  2009年に設立。セミナー、育成イベント、交流会等の活動を通して、
  会員組織に加わるエンジェル、企業との仲介を行う。1社に対する投資
  は500万円程度、投資実績は累計で1億円。
  上記KOIL内に柏の葉オフィスを常設。
 
 施設:2014年から東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライトの1Fに拠
    点を移動(独立棟ではなくやや縮小)。
     オープンデッキ、オフィス、ラウンジ、インフォメーション等の
     機能を持ち、ラウンジはワークショップ等に利用されている。
 
●事例3「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」
 二子玉川ライズを拠点とする都市生活をテーマとしたコンソーシアム
・ 会員:三菱総研、コクヨファニチャー、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、東急電鉄、富士通、楽天の6社を幹事会員として、法人会員75社、学術会員21名、友好団体:22団体
・目的:東京都世田谷区の二子玉川地区に注目し、学識経験者、行政と連携
し、「国際競争力のある創造的産業育成に果たすべき都市の役割」を
論じることで、日本の産業や文化、経済の発展に対する寄与・貢献
を目指す。
・活動:
  ―クリエイティブシティのグランドデザインの検討・発信
   …企業や就業者、生活者にとって魅力ある「クリエイティブシティ」
    のコンセプトについて検討し、二子玉川、広くは渋谷周辺地域にお
    ける新たなワークスタイル、ビジネススタイルについて、セミナー
    やイベントの開催を通じて発信。
  ―「クリエイティブシティ」実現のために必要なインフラの研究・実験・
    実証
   …「クリエイティブシティ」実現のため必要なインフラについて検討、
    プロトタイプ・プロジェクト(創発や創造的問題解決のための場づ
    くり、低炭素化都市のための情報通信プラットフォームなど)とし
    てまとめ、関係者に広く提言。
  ―「クリエイティブシティ」 の実現・持続的発展に向けての活動
   …参加企業と二子玉川、広くは渋谷周辺地域を対象とした事業の検討・
    計画・設計をし、また、連絡会・交流会・イベントの開催など、ク
    リエイティブシティの持続的発展のために活動。
     →ワーキンググループ(WG)
      フューチャーワークWG、位置情報サービスWG、
      スマートライフWG、キッズWG、モバイルワレットWG、
      デジタル・シティWG、ソーシャル・シェアリングWG
 
 他に具体的な社会実験やサービス、プロダクトの制作を行うプロジェクトが3つ
 
・活動拠点:二子玉川ライズ・オフィス内「カタリストBA」
      416㎡のスペースに最大120名収容のスタジオ、コワーキング
      スペース、ミーティングスペース、サロン、ツールラボを設置。
      運営は、東急電鉄、コクヨファニチャー、春蒔プロジェクトに
      よる施設運営管理団体が行い、会員向けのセミナー、プロジェ
      クトやWGの活動発表等のイベントを開催。
 
 以上、大型の開発拠点に関連する3つの組織の例を挙げたが、運営形態も扱うテーマもそれぞれに特色がある。
 
●事例4「CKL(コンテンツ・コリア・ラボ)」
 韓国では、コンテンツ産業振興を目的として、アイデア開発、人材育成、起業支援の機能を持つCKL(コンテンツ・コリア・ラボ)の展開を進めている。設置する地域は、ソウル、京畿、仁川、大邱、釜山の5か所で、地域ごとに特色を持たせたコンテンツ開発に取り組んでいる。
 文化体育観光部の支援のもと、年間120億ウォンの予算が付き、韓国コンテンツ振興院が運営している。
 
 総合的な開発に取り組むソウル以外の地域の特色は以下の通りである。
・京畿
  医療、医学とコンテンツの融合。
  創意的生態系造成とコンテンツ企業集中育成
  ゲーム基盤での融合コンテンツを開発、融合コンテンツの成功モデルを
  提示。
・仁川
  感性コンテンツ生産及びクリエイター育成
  五感(音楽、美容、ヌードル、ロボット、開港)コンテンツ
  感性コンテンツ創作ラボの実施
・釜山
  映画産業を中心としたコンテンツ開発、人材育成
  文化産業振興地区と文化芸術教育特区を中心にした地域密着型のコンテ
  ンツ発掘
・大邱
  純粋芸術と先端技術との融合による新たなジャンルを開拓
  先端融合ステージ公演(ロボットとミュージカル共演)、IOT(internet
  of things)の強化、ファッションから発生するコンテンツ開拓
 
・ソウルCKL
  2014年にオープンしたソウルのCKLは、弘益大学大学路キャンパス教育棟の2,10,13,14,15の5フロアを使用、総面積は3,043.64㎡。大学との連携を重視して、若者が集まる大学路に位置する美術系の大学の建物内に設置されている。
概要は以下の通り。
・コンセプト
  想像力を発展させることができる多様なアイデア総合プログラム
  創作のための開かれた空間と豊富な施設
  スタートアップ育成のための体系的な支援を全部提供
 
・全体スペースコンセプト
  出会い、学習、コラボレーション
・設置施設
  模型設計室、工作室、ペイントルーム、映像編集室、音響編集室、
  録音室、ピッチングボックス、ライブラリー、ラウンジ、会議室、
カンファレンスルーム就職・起業支援室、カフェ、レクチャールーム、スマートオフィス
 
・プログラム
  育成プログラムとして設けられた「融合プログラム」は、4か月コース
 で1回に40人が参加。このプログラムには1年間の支援費として4億ウ
 ォンの予算が付けられ、事業開発から起業までのレクチャーが行われる。
 また、起業支援室には、専門家が常駐して、参加者の相談に応えている。
 
 ナレッジキャピタルの大阪イノベーションハブの場合は、大阪市の事業として企画され、運営事業者への委託のもとに進められている。
 柏の葉の場合は柏市と大学、開発事業者によるコンソーシアムに実働部隊として各分野の協力団体(企業)が機能しているが、特に市の関与が高く、実際の活動としてはエリアマネジメントに力が入れられている印象が強い。
 竹芝/CiPプロジェクトについても、組織の運営形態については前記の形で構築していくが、竹芝の地域としての特性を生かした活動をこれに付加していくことが、さらに課題としてあるものと考えている。
 また、海外に目を移せば、韓国が国の事業として複数の拠点で展開するコンテンツ・コリア・ラボのような人材育成、起業支援の形態も研究の対象となる。
 協議会の活動にあたっては、新施設開業時にCiPが指向する機能をさらに充実、拡大するための組織、場の在り方も理事を中心とした会員企業とともに考えるテーマとしていきたい。

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