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2020.05.26

CiP協議会「With コロナ時代の新しいエンタメ」表明 自民党デジタル社会推進特別委員会にて提言

一般社団法人CiP協議会(以下CiP協議会)は、「With コロナウイルス 新しいコンテンツ戦略へのステートメント」を表明した。あわせて、アクションプラン「Withコロナ時代のエンターテイメントの姿」を作成し、自民党デジタル社会推進特別委員会(委員長:平井卓也 前IT科学技術政策担当大臣)において提言し、高い評価を受けた。

 ステートメントはCiP協議会が5月13日に表明した「After Covid-19 新しいコンテンツ戦略へのステートメント 第一弾」を加筆したものであり、新たなアクションプランは新型コロナウイルス感染症の蔓延により抑え込まれたエンターテイメント需要の喚起を目的とする。これからのコンテンツ制作や配信の仕組みを構築するとともに、5G、AR/VR等の最新技術を活用した楽しみ方を提供し、日本全国をエンターテイメントの力を通して活性化する。
 具体的には、
・コンテンツのデジタル発信専門組織 (WAVE+81(仮))の設立
・権利者のワンストップ窓口の実現
・新たなプラットフォームとビジネスモデルの構築
・先端技術とエンターテイメントの連携
を進める。また、
・ライブハウス営業再開のための環境設備拡充
・中核組織構想の早期実現
・デジタル発信拡充のための継続的活動に対する公的支援を求めた。
 CiP協議会ではライブエンターテイメント事業の維持、関連する雇用の確保、イベント等の開催、再活性化に資する具体的施策をこれからも迅速かつ着実に実施する。

 そのため、CiP協議会は5月13日に表明したステートメントを加筆した第二弾ステートメントを表明する。

1.場作り
・家賃減免を条件としたオーナーへの固定資産税減免措置
・ドネーション分配制度の整備
・価値ある場創り
・環境整備費用への補助
・テクノロジーによる感染症対策

 ライブハウス、イベントスペースについては、2月26日に政府による自粛要請がなされた以後、大きな経済的な損失が発生し、2ヶ月半が経った現在も多数の店舗、会場が閉鎖を余儀なくされている。中には政府の支援策が届いていないものもあるが、これらの場のひとつひとつが音楽をはじめとする日本のエンターテインメント文化を培ってきた。ライブハウス、イベントスペースといった場を救済することは、単に物理的な場所を救済するということではなく、そこに集う人々のコミュニティ、育まれる文化の保護を意味する。
 ライブハウス、イベントスペースの運営は、固定費である賃料の負担が大きく、また短いスパンで資金を回転する必要がある。同時に会場で働く技術職(PA、照明等)はフリーランスであることが多く、現在の支援策では効果的ではないことが多い。
 ライブハウス、イベントスペースは、小さな店舗や会場も含め、現在の文化、産業を形成する生態系の重要な部分を占めており、さらにそれらは街に人々を誘引する価値を生み出している。こうした場の存在を保つことにより、文化とそれが生み出す産業を守ることができる。ライブハウス、イベントスペースの営業再開のため、環境整備費用の補助とテクノロジーによる感染症対策を支援し、再び価値を生み出す。

2.新ビジネスモデルの創造
・デジタルトランスフォーメーションの促進
・エンターテイメント×テクノロジーの機会創出
・新しいインフラの整備
・新しいテクノロジーの一般化
・コンテンツ制作パラダイムシフトの促進

 政府によるイベント自粛要請以後に、ライブやイベントの配信による開催、既存コンテンツのオンライン公開が急速に広まったが、リアルでの開催に代わる新たな価値を提供できておらず、収益化が実現できていない。イベント、パッケージ販売などフィジカルでのビジネスを中心としたビジネスモデルから、オンライン参加やヴァーチャル体験等を組み合わせた新たなビジネスモデルへのコンテンツビジネスのデジタルトランスフォーメーションを促進し、さらにグローバルな展開を推し進める、新たなビジネスモデルを創出する必要がある。ライブエンターテイメントの熱狂やカタルシスに代替する新たな価値をテクノロジーとのコラボレーションによって、生み出す必要がある。
 それには5Gに代表される超高速大容量のインフラ整備が必要となる。加えて、新しいテクノロジーの一般化を進め、コンテンツ制作のパラダイムシフトを実現するための支援も必要となる。また、人々の働き方、ライフスタイルにも新しい手法を提示する必要がある。
 これらによって、新しい時代のエンターテイメントとその楽しみ方を創造する。

3.特区
・海外向けビジネス税制緩和
・外国人雇用拡大のための規制緩和
・権利団体の連携

 今夏に予定されていた2020東京オリンピックにむけて、世界における日本のプレゼンス向上を目指してきたが、仕切り直しが必要となった。渡航が制限され、グローバルにビジネス展開していた企業の多くはビジネス活動が制限されている。特に、国際分業が進むアニメなどの映像産業においては、映像制作の中断を余儀なくされている。
 従来から欧米では映像産業育成のために税制優遇策が実施されており、特区を用いてCGやVFXの制作会社を集積させている。そこで、特区を活用した税制優遇策を実現し、日本の映像産業がグローバルに競争可能な環境を今こそ整備すべきである。
 あわせて、海外の優秀な人材を雇用するための規制緩和も同時に実施するべきタイミングだ。これら特区を用いた施策によって、日本のコンテンツ業界の競争力を強化する。

4.ジャンル横断
・横断的プラットフォームによる発信力の強化
・著作権問題の共同解決
・知見の共有による新しい価値の創造

 コンテンツ産業はジャンル別にビジネスや海外戦略を展開してきたが、欧米の巨大資本によるプラットフォームと比較し、大きな成果を出しているとは言い難い。現時点においても、ユーザーやファンの巣ごもりに対応するべく、各コンテンツ産業が独自にデジタル配信の拡大に挑戦しているが、業界ごとに慣習も異なり、横断的なコラボレーションが実現していない。
 現在の危機を乗り越え、新たなクールジャパン戦略を実行するためには各コンテンツを横断的に発信するプラットフォームの構築が必要となる。まんが、アニメ、ゲーム、音楽など様々なコンテンツを横断的に発信することで、ユーザーの利便性を高め、市場拡大のチャンスを増加させる。各々の産業がデジタル化に対応するために培ったノウハウやマーケティング手法、海外の日本好きファンなどを広く共有し、また著作権処理についても集中管理による解決を目指すべきである。各ジャンルの知見を束ねて真のグローバルビジネスに対応する必要がある。
 これらの機能を持ったプラットフォームを整備し、もって日本のコンテンツ発信効果を最大化させる。

5.人材育成
・未来志向人材の評価と育成
・新規ビジネスの創造支援
・時代に破壊されない価値づくり

 新型コロナウイルス感染症の蔓延により社会は変わり、従来の学校という制度も大きく変わる。教育のオンライン化、デジタル化が拡大すれば、それに対応可能な学校システムが必要となる。また、社会の変革により、求められる人材像も変容する。新しい社会を牽引する未来志向人材や起業家の育成がますます必要となる。時代の変化によっても破壊されない、根源的価値を生み出すことが変革の時代においても強みとなる。
 そのために、グローバルスタンダードな教育システムを実現する。優秀な人材のグローバルでの活躍を支援する。また、産業界と連携した場の設計や、ベンチャー企業とコンテンツ産業との連携、ファンドによるスタートアップへの出資を促す。これにより、新しい社会を持続的かつ発展的に創造する。
 これらを通じて、CiP協議会は新型コロナウイルス感染症に対峙するコンテンツ業界の変革を支援し、未来に向けて、新たな社会を創造する。

<ヒアリング御協力>
・相川真太郎 氏:グリー株式会社 執行役員
・案納俊昭 氏:株式会社スペースシャワーネットワーク取締役 常務執行役員
・稲蔭正彦 氏:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 研究科委員長
・内田治宏 氏:マーザ・アニメーションプラネット株式会社 映像事業本部 上席執行役員
・梅澤高明 氏:ナイトタイムエコノミー推進協議会 A.T. カーニー 日本法人会長 CIC Japan 会長
・近藤正司 氏:一般社団法人ライブハウス コミッション 代表理事
・田中敦典 氏:株式会社アルベログランデ 取締役
・夏野剛 氏:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授
・松野玲 氏:一般社団法人アーティストコモンズ 専務理事
・箕川智久 氏:株式会社エンターメディア 代表取締役
・その他、ベンチャーキャピタル代表2名、音楽団体役員など

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